測地系についての悩み
仕事で測地系の扱いについてちょっと悩んだので、書いてみました。
入力様式に住所に加えて緯度・経度の記入欄があり、みんな当たり前のように記入しているんですが、ふと思ったのが「これ、どっちの測地系で書いてるの?」ということ。
日本では日本測地系(古い)と世界測地系(新しい)がどっちも使われています。世界測地系で記入するべきところに間違って日本測地系で記入しても、その差は数百メートル程度。○○一丁目を指しているはずが○○二丁目だったりするレベルです。
発覚が難しいズレ
緯度・経度をGoogleマップ等に入れた地図と、そこを指しているはずの住所を見比べても、よっぽど土地勘のある地域じゃなければ正否は分かりませんでした。キロメートル単位でズレていれば、隣の市だったりして一目瞭然なんですけど。
今回、入力に関わっていた人のうち約半数がGoogleマップ、残りがMapionとゼンリンといった具合に、測地系がバラバラになっていました。件数が20件くらいの時点で気付いたのでセーフでしたが、これ10000件とかになったらどうやって修正したらいいんだろう。
10進法の100と16進法の100が見た目では区別が付かないのと同じで、単に緯度と経度を入力しているだけだと再発が避けられないような気がします。使用する地図サービスを限定するのが手っ取り早いのかなあ。
測地系って?
測地系(そくちけい)は、地球上の位置を経緯度(経度・緯度)及び標高を用いる座標によって表すための系(システム)を指す。
- 現代では準拠楕円体、測地座標系、ジオイド面の3要素を特定する事により定められる。
- 測量の前提であり、地図を作成する際には一貫性が求められる。
地球って球体でもなければ綺麗な楕円体でもないし、表面も山あり谷ありで高さが一定ではありませんと。なので、近似的に地球を表現して座標を得るためのモデル・システム(=測地系)が必要。で、その測地系が
温度の尺度にセ氏と華氏があるような感じですね。
日本で使われている測地系
現在、日本国内では世界測地系(日本測地系2000)が標準になっています。少なくとも法的には。
2002年4月に法改正が行われるまでは、明治時代に採用された日本測地系と呼ばれるローカル測地系が使われていました。*1国内の測地に関してはこれで十分だったのですが、飛行機・船舶が地球規模で往来するようになり、世界測地系への移行が必要となりました。
Webサービスでの測地系
- 米国の測地系:世界測地系(WGS84)
- 日本の測地系:日本測地系2000[2]
- 電子国土背景地図(国土地理院、地方公共団体等が提供)
- Docomo (Web) の GPSサービス
- 日本測地系(旧日本測地系)
- Yahoo! JAPAN#Yahoo!地図情報(ただし世界測地系も地図APIで対応する)
- Mapion
- マップファン
- goo地図
- livedoor 地図情報
- ゼンリン いつもガイド
※一部リンクを置き換えています。
Googleマップとそれ以外って図式ではありますが、こんな感じに測地系が分かれてしまっています。WGS84と日本測地系2000の差は実用上問題ないくらいに小さいそうですが、旧日本測地系は他の2つと比べて数百メートルのずれが発生します。
例えば、日本のへそ(北緯35度 東経135度)を表示させてみるとこんな感じです。
Googleマップ
ゼンリンいつもNAVI
Googleマップとゼンリン地図は測地系が違うので、表示される位置がずれてしまっています。Googleマップの方が正しい位置なので、日本のへその緯度経度は世界測地系で表されてるってことですね。
へそ公園自体は法改正以前からあるので、世界測地系におけるへそだったってのは意外でした。
そういえばこんなのも
この記事を書いていて「ひょっとして」と思ったのが、iOSマップアプリのパチンコガンダム駅問題。あれも測地系の取り違えだったのでは??
<施設が本来ある位置から多少(500m以内程度)離れた位置に表示される>
この問題は、地図にある程度詳しい人は勘で気づくものかもしれないが、測地系の問題である。測地系とは、地図製作における座標決定の前提条件となるものだ。測地系についての細かい説明はWikipediaなどに譲るとして、日本では2002年3月までは日本独自の測地系である「日本測地系」が利用されており、2002年4月までは「世界測地系」が利用されている。この測地系の変更によって、「日本測地系によって計算された緯度経度の地点」を「世界測地系によって計算された緯度経度の地点」で表すと、北西に約400~450m移動することになる。
iOS6の地図問題を真剣に原因分析してみた
やっぱり、測地系のあれこれも原因のひとつだったみたいですね。
*1:別にガラパゴスなことをしていたわけではなく、昔は各国が自国内で扱いやすい測地系を使っていた模様。